精密画像計測システム グループ of 慶應義塾大学 理工学部 電子工学科 青木研究室

精密画像計測システム

 近年,高輝度X線やレーザ,可視光外光源を用いた撮像システムにより,これまで取得することが困難であった生物や物質に関する情報,物理現象の画像化が可能になりました.しかし,ただ可視化するだけでなく,そこから対象の性質,現象を的確に把握するための定量的な情報の獲得が必要となります.これらの画像には,多くのノイズが含まれることが多いため,その中で必要な情報のみを抽出するにはロバストな画像処理アルゴリズムが必要不可欠です.我々は,生物の細胞,神経レベル,物質内部状態のナノオーダーでの画像解析など,従来,目視により行われていた定量化処理を,ロバストな画像センシング技術によって自動化することを目的に研究を進めています.生物や物質の物理化学的性質を探究する研究者と連携し,従来では得られなかった多くの有意な情報を画像から抽出,解析することで,生物,物質の本質を知ることに役立てています.

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  ナノオーダ3D-CT画像を用いた材料内部の変形破壊特性の高精度解析

共同研究先:豊橋技術科学大学 戸田・小林研究室
Keywords:材料評価,ナノオーダ解析,3D-CT,粒子追跡法(PTV)

「材料が変形する内部の様子をナノオーダで観測する」

 新しく材料を開発した際、その安全性を保証するため、材料にかける負荷とそれによって生ずる変形の程度を解析する必要があります。材料内部には直径数μmの粒子や気泡などが1万個以上含まれており、これらが複雑な変形を引き起こします。そこで我々は、放射光施設SPring8にてナノオーダ3D-CT画像を変形前後で撮像し、変形間の粒子の移動量を解析しています。材料内部に粒子は1万個以上と大量に含まれており、それらをいかに正しく追跡するかが本研究の主たる課題になります。本研究が完成することで、原子力発電所のタービン材料など内部の変形がその機能性に著しく影響を与えるような材料が変形していく様子をナノオーダで観測できるようになります。(中澤)

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  脳神経微細構造の高精度画像解析

 脳神経科学の分野において、脳神経細胞の構造・機能の解析は「脳を知る」ための重要な課題であり各方面で研究が盛んに行われている.特に神経細胞上に存在する突起状組織(スパイン)は情報伝達を担っており、記憶・学習のメカニズムを解明する上で非常に重要な研究対象である.本研究では、共焦点レーザー顕微鏡により得られた脳神経細胞のスライス画像群から高精度に脳神経組織を抽出、細胞上に存在するスパインの数量等を自動解析するシステムの実現を目指している.定量的・高精度な解析手法を提案する事で、脳神経科学分野への貢献が期待されている.(坂倉)

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  KcsAカリウムイオンチャネル分子構造の動態解析

 生物物理学・分子生理学といった学問分野において、機能性膜タンパク質分子の機能発現に伴う分子挙動計測が盛んに行われている.日本のSPring-8,フランスのESRFのような大型放射光施設の完成と、X線観測技術の向上により現在では分子構造の変化を動画像として記録する事が可能になった.しかしその一方で高感度・高速度カメラによる撮影で得られるデータは膨大で、人手による解析では十分に処理できないという問題を抱えてしまっている.本研究では多量のノイズを含む動画像中から解析対象を安定して検出・追跡するアルゴリズムを提案、自動解析手法の実現を目指している.(坂倉)

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  調理における関心領域の時系列温度計測システムと匠の技解析

 炒め調理において,具や鍋の温度管理は料理の出来映えに大きな影響を与えることが調理科学上,知られています.本研究では,可視+サーモカメラを併用し,炒め加熱調理における具材や鍋の温度情報を時系列で高精度に計測可能なシステムを構築しています.従来は,熱電対センサを用いた定点温度計測,サーモを利用した手作業による温度情報抽出を経た解析がなされていましたが,本システムの導入により,自動かつ高精度に,鍋や具材等,炒め調理に関わるオブジェクトの抽出と温度履歴情報の取得が可能となりました.これにより,従来,調理科学分野では明らかにされていなかった,匠の技の解明がなされようとしています.今まで「感覚的」に行われることが常識であった調理技術に対して,画像センシング技術によるアプローチにより、「理論的」に説明することが出来るようになれば、調理というフィールドは勿論のこと、食品業界においても様々な新しい発見を生み出すことが出来るのではないかという期待のもと,研究を進めています.(佐藤)

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